「雪」は、ひとつじゃない

「雪」は、ひとつじゃない

今年の冬は寒波が次々に襲来して積雪も半端ないですね。
雪国で暮らす人々は雪と否が応でも関わらなけれなりません。

❄️ 「雪」は一語。でも、感じ方は一様じゃない

ところで
英語では snow
日本語では「雪」。

辞書を引けば、どちらも一語です。
でも、実際に雪の中で暮らした経験がある人なら、 こう思うはずです。

雪って、全部同じじゃないよね。

降り方、粒の大きさ、湿り気、積もり方。
違いは、見た目だけでなく、歩きやすさや危険度にも直結します。

📝 研究の出発点は「生活の観察」

20世紀初頭、文化人類学者フランツ・ボアズは、
北極圏で暮らすイヌイットの人々の言語を調査しました。

彼が注目したのは、
・ 雪や氷の状態を
・ 目的や状況に応じて
・ 言い分けている

という事実です。

狩りをする人にとって、
移動する人にとって、
「どんな雪か」は命に関わる情報でした。

この話が広く知られるにつれて、
「雪を表す言葉がとても多い」という点だけが
強調されるようになります。

😲 「エスキモーには“雪”の言葉が100以上ある?!」

「エスキモーの人たちには、雪を表す言葉が100以上あるらしい。」
聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
語学や言語学の授業、雑学本、テレビ番組などでまことしやかに語られてきた有名なエピソードです。

イヌイットの人たちが雪の状態を細かく言い分けているのは確かです。
でも、伝わる過程でかなり話が盛られています。

🔍 大事なのは「数」より「区別」

でも本質は、
数の多さ ではありません。

何をどう区別する必要があったのか
そこに、言語の面白さがあります。

⛄ 日本語の「雪」も実は豊か

日本語に戻ってみましょう。

多くの人が思い出す?のが、
新沼謙治の『津軽恋女』です。

サビでは、

こな雪
つぶ雪
わた雪
ざらめ雪
みず雪
かた雪
春待つ氷雪

と、「雪」が立て続けに歌われます。

これは学術用語ではありません。
でも、土地の感覚 は正確に伝わってきますね。

聞く側も、

ああ、違う雪なんだな
ああ、津軽の冬だな

と、自然に理解します。


🤗 言語は「必要なところ」で豊かになる

英語も、日本語も、
そして北の地域の言語も

共通しているのは、

暮らしの中で重要なものほど、
言葉が細かくなる

という点です。
雨、風、雪、光、音
どの言語にも言えることです。

1月のことばとして

「雪」は一語。
でも、その中身は一様ではありません。

powder snow も、slush も、
こな雪も、ざらめ雪も、
すべて同じ「雪」です。

言葉は、
世界をそのまま写すものではなく、
私たちが世界とどう向き合ってきたか を映すものです。

1月の空を見上げながら、
そんなことを考えてみるのも、悪くない気がします。






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